前回は『競売』とはどういうものなのかを解説させていただきましたが、今回は『競売の流れ』についてお話させて頂きたいと思います!
競売を申し立てられた際は、どのようなことが起きるのかを順に見ていきましょう
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【目次】
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住宅ローンを3~6回滞納すると、期限の利益を失います。
※「期限の利益」とは…分割での返済が認められるという利益のこと。
つまり、住宅ローンを分割で返済する権利を失うということです。
これによって、債権者(借入先の金融機関)は一括弁済を請求します。
※「一括弁済」とは…毎月返済する約束が守られなくなったので、「住宅ローンの残りをすべて一括で返済してください。」と請求すること。
一括弁済を請求されたとしても、ほとんどの人は一括で返済することはできません。
そこで、債権者(借入先の金融機関)は、保証会社から代位弁済を受けます。
※「代位弁済」とは…保証会社が本来の債務者に代わって全額を返済すること。
その結果、次は保証会社から一括弁済が請求されます。
「あなたの代わりに全額返済したから、私に返してください。」ということです。
しかし、返済できる人はほとんどいません。
そのため保証会社は「法的手続きに移ります。」という手紙を郵送してきます。
※ここでの「法的手続き」とは、裁判所に競売を申し立てることを指します。
この後、いよいよ競売が始まります。
保証会社が競売を申し立てると、裁判所から債務者の元へ「競売開始決定の通知」が届きます。
※「競売開始決定の通知」とは…「あなたの家が競売になりました」という通知のこと。
そこには、下記の事項が記載されています。
1.事件番号(通し番号)
2.競売の手続きが開始したこと
3.申立て債権者(借入先の金融機関や保証会社)
4.債務者兼所有者
5.担保権・被担保債権・請求債権目録(借金の内容のこと)
6.物件情報
それからしばらくすると、「現況調査のための連絡書」という封書が届きます。
※この現況調査とは、裁判所が競売を進めるにあたり、該当の家が「どんなところに建っていて、どんな状況なのか」を調べることです。
これは裁判所の執行官と不動産鑑定士が、二人一組のペアで行います。
具体的には以下のようなことをします。
また、個別に具体的なことを質問される場合があります。
「誰が住んでいるのか」「故障している機器はあるか」「修繕したところはあるか」など家に関する詳細についてです。
この質問の回答によって売却価格が変わってくることもありますので、正直に答えましょう
執行官と不動産鑑定士による現況調査からおよそ1~2ヵ月後に、裁判所に「評価書」が備えられます。
※「評価書」とは…調査の結果、落札の金額の目安が記載されたもの
また、この評価書には家の状況が事細かに記載されており、室内の写真も掲載されています。
※この段階では、まだ誰でも自由に評価書を閲覧できるわけではありません。(本人や利害関係者のみです。)
評価書が完成すると、「期間入札の通知」が届きます。
※「期間入札の通知」とは…入札期間・開札期日・売却決定期日・売却基準価格など、具体的な競売の内容を記した通知のこと。
■入札期間とは:購入したい人が入札できる期間
■開札期日とは:誰が最も高い金額で入札した落札者が判明する日
■売却決定期日とは:購入者が決まる日
■売却基準価格とは:入札するための基準となる金額
この通知が届くと間もなく、期間入札が始まります。
「期間入札の通知」が届いてから2~3か月後に、購入希望者により入札が始まります。
多くの場合、任意売却が可能なのは、この入札開始日の前日までです。
入札開始日以降は、債権者(借入先の金融機関や保証会社)が任意売却を認めなくなります。
その後に開札が行われ落札者が決まり、裁判所による落札者の審査が行われます。
落札者の審査の結果、裁判所から購入することが認められると、落札者は代金を裁判所に支払います。
債権者(借入先の金融機関や保証会社)は、その代金から住宅ローンを回収します。
購入者が決まり、代金の支払いが終わると、立ち退きしなければなりません。
購入者によっては、ある程度話し合いにより立ち退き時期が相談できる場合もありますが、可能性は高くありません。
なお、以前はいわゆる“居座り”が横行していましたが、現在は不可能です。
警察官の立ち合いの元、立ち退きが強制執行されます。
前回と今回で、競売について見てきましたがいかがだったでしょうか?
競売になってしまうと
・通常より安い価格でしか売れない
・売却が成立しても、お金は自由に使えない(住宅ローンの返済にあてられるため)
・強制的に追いだされてしまう
・周囲の人に競売になっていると知られてしまう
このような状況になってしまいます。
滞納が続く前に、早期にご相談して頂くことで任意売却が可能となります
しかし、任意売却は申請が出来る期間が限られています。
上記で見てきた通り、競売が開始する前までが任意売却が可能な期間となります。
任意売却の許可が下りて、成立するまでにも1~3ヶ月程度の期間が必要となるため、ご相談して頂く時期が早ければ早いほど、解決の可能性も高くなります。
また、ローンの返済を滞納していない段階の方であっても、今後の返済の見通しが立たない、又はローン以外の借入れや税金等の滞納でご不安がある方は、お早めにご相談下さい。
滞納が無い場合は、通常の不動産売却の手続きが可能となりますので、より自由に売却活動をすることができます